大判例

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最高裁判所第一小法廷 昭和36(オ)826 判決

主 文

原判決を破棄する。

本件を東京高等裁判所に差し戻す。

理 由

上告代理人下光軍二の上告理由二の3について。

特定物引渡請求権を有する者も、債務者がその目的物を処分することにより無資

力となつた場合には、民法四二四条により右処分行為を詐害行為として取り消すこ

とができるものと解すべきことは、当裁判所大法廷判決(昭和三〇年(オ)第二六

〇号、同三六年七月一九日言渡、民集一五巻七号一八七五頁)の示すところであつ

て、いまこれを変更する必要を認めない。

本件において、原判決は、民法四二四条の適用を受ける債権者は、金銭の給付を

目的とする債権を有する者であつて、特定物の引渡請求権を有する者を含まない、

という見解のもとに、本件第一目録の物件の買主としてその引渡請求権に基づき被

上告人両名間の右物件の売買契約を詐害行為としてその取消を求める上告人の請求

を棄却しているが、右は前掲大法廷判決に牴触し、民法四二四条の解釈適用を誤つ

たものというべく、爾余の論点について判断を加えるまでもなく、この点において

原判決は破棄を免れない。そして、詐害行為の要件の有無についてさらに審理を尽

させるため、本件を原審裁判所に差し戻すのを相当とする。

よつて、民訴四〇七条一項に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 入 江 俊 郎

裁判官 下 飯 坂 潤 夫

裁判官 斎 藤 朔 郎

裁判官 長 部 謹 吾

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